最近メディアを通じて「介助犬」が取り上げられることも多々あるようですが、どれも介助犬の姿を正しく伝えていず問題が多いと思います。これから介助犬が障害者の自立手段の新たな素晴らしい存在として発展して欲しいと思っています。
私の本業は内科医で、介助犬アカデミーの仕事はボランティアです。「
日本介助犬アカデミー」は1997年12月に介助犬の情報収集と情報提供をする為に設立されました。現在介助犬を利用されている方からの相談、これから介助犬を使ってみたい方からの問合せや相談、受入機関への啓発、教育、介助犬ト−レナーになりたい方々からの問合せ、相談などをしています。
●この後、10分ほどビデオ上映
97年にアメリカからスーザンが介助犬と一緒に日本にやってきて、全国で講演を行いました。その時にテレビのニュース番組で特集が組まれたもの。
スーザンは以前に飼っていたペットの犬が倒れた時に支えてくれた経験から介助犬の利用を考えたとのこと。介助「犬」、なんで犬なのかは「犬」が人のサポートを出来ることを教えてくれたからです。
介助犬の出来ることは単純なことです。(犬ですから)・落下物の拾い上げ/在宅でSEをしている人はFDを床に落としてしまうと自身で拾えず仕事が中断してしまいました。FDを落とした時のためだけに介助者を入れることは色々な意味で負担が大きいのですが、犬なら必要な時に呼び寄せて拾ってもらうことが出来ます。・くわえる。放す/上記の人が家人がいない間に、冷蔵庫の扉を開けて冷たいジュースを出して飲むことが出来ます。介助犬なしでは予めテーブルに用意された生あたたかいジュースしか飲めませんでした。この動作の組み合わせで衣服の着脱の手つだい(手の届く所までくわえて引っ張る)もできます。・姿勢支持/歩行時の支え、ちょっとした姿勢の直しができます。骨格がしっかりした犬でないと犬が股関節を痛めることにもなります。
介助犬を希望する人には本当に介助犬を理解しているかがポイントです。単に飼いやすい犬が欲しい。また猫の方が良いという人。(そばにいてくれる)。実際介助犬をペット化させてしまった例も有ります。使用者の適性は、公衆衛生上適切な取扱いが出来るかです。例えば子供は責任能力の面で不安が有ります。誰が本当に管理するのか親と相談が必要です。
○介助犬の現状
介助犬の定義は――然るべき知識と訓練を有する訓練者によって訓練された犬を犬と共に訓練を終了した肢体不自由者が自立の為に使用する犬――です。現在に日本では色々な団体が色々な方法で「介助犬」を訓練しています。訓練法が確立していないので、ただ犬を渡してしまえば良い。という考えの団体もあります。
障害は人それぞれで5年後、10年後の症状や体の状態は変わってきます。そこを理解し、アフターケアがきちんとできていなくては良い訓練者とは言えないのです。犬を受け取った利用者から「もうちょっと何かしてくれると思った」との声や利用者の障害の進行で仕事の後の犬を誉めて(頭が撫でてやれない等)やれなくなったときの、犬が自信を無くしてしまうなど。のこともあるのです。盲導犬は道路交通法に定義され社会的認知も進んできています。介助犬はまだ法的根拠もありません。介助犬を行政に扱わせるには「仕事は色々」ではだめできちんとする必要があります。介助犬も「障害者補助犬」として認定してもらうには、育成団体はNPOではだめで、盲導犬育成団体と同様に、公益法人または社会福祉法人にすべきと思っています。そうした上で公的認定制度が出来れば不特定多数の人が集まる場所などには受入れ義務が発生し、職場の雇用主や民間マンションでも受入の努力義務が発生します。日本では国より地方自治体の方が受入に熱心です。宝塚市が「介助犬同伴可」のステッカーを作りました。このステッカーのある所は介助犬と共に入れます。(配布は介助犬アカデミーが行っている)
○ 介助犬と旅行
鉄道会社では介助犬と利用するには申請が必要です。そして乗車の試験が有ります。お腹をけられたり、食べ物で誘惑したりそれに動じないことが分かれば合格です。(これは鉄道会社ごとに行われる)宿泊施設では介助犬は受入れますが、バリアフリールームは有りません。などというところも有ります。また海外に出掛ける時には「検疫」という壁も有ります。よく、「犬が嫌いなお客様もいらっしゃいますので・・」という言葉も聞きますが、これは介助犬使用者の社会参加を断つ言葉です。一方私からみて犬は本当に楽しいのか?と疑問を持つころも有ります。犬を連れての富士登山、犬を連れてのマラソン参加etc。基本的に犬は飼い主といることが大好きですがこれはあまりに犬に過酷ではないかと思います。
介助犬の使用者も本当に犬のことも思いやってなおかつ、犬の毛、臭い、人込みでのブルブルブルはやめるなどマナーを守って頂きたいのです。そのようなことも教えられる介助犬のトレナーの養成も急務です。昨年11月の国会で盲導犬・聴導犬・介助犬が「身体障害者補助犬法」が提出されています。(成立の見込み)法の整備はスタートラインに過ぎません。