タイトル もっと優しい旅への勉強会
「戻る」「ホームへ」

2001年5月定例会
航空旅行における
お身体の不自由な方への対応について

日時:2001年5月23日(火)
会場:JATA会議室
講師:石倉康範氏 全日本空輸(株)ANAスカイアシストデスク勤務

5月の講師には当会会員で航空会社に勤務されている 石倉康範さんが、「航空旅行におけるお身体の不自由な方への対応について」がお話しくださいました。前々号でご紹介した、航空会館での講演会とは視点が違いますよ!
5月23日火曜日午後7時より、JATA会議室にて参加者は22名でした。

石倉さんのお話
私は1993年に航空会社に整備士として入社いたしました。幼い頃から機械いじりが好きでした。成田空港で国際線の飛行機の重整備をしていました。1998年まで整備士として過ごしその間に一等航空整備士の資格も取得しました。
その後「ANAスカイアシストデスク」(おからだの不自由なかたの旅のお手伝い)に異動になりました。一時期制度や規約の制定を担当していた時期もありましたが、この4月からはお問い合わせの電話に直接対応する業務も再度担当しています。

海外の航空会社では医療のケース−こういう症状で搭乗できるか否か――の判断を扱う部署はありますが、これに障害やご高齢の方も含めた物はないようです。

スカイアシストデスクの設置は障害者や高齢者の航空旅行の相談窓口として選択肢を増やしたと思っていますが、実際は旅行代理店が障害のある方や医療機器の扱いについて分らないから安易にケースを回してくることが非常に多いのです。旅行代理店などは心のバリアフリー「ここでは対応出来ない」ということが「悪い」ということに気づいて欲しいのです。マニュアルを作ることは出来ますが、「心のマニュアル」は創れないのです。こころのバリアフリーはまだまだのようです。
それでは「飛行機と飛行機旅行」の特徴とはどんなところでしょうか? 航空旅行は他の交通機関に比べてバリアフリーが進んでいるといわれることがあります。しかし実際にバリアフリーでない所は搭乗人数制限が有る所でしょう。歩行が単独でできない方は概ね一つのドア(非常口含む)に二人しか座れないというルールがあります。これは先ほどもお話した非常時の脱出を想定してのことです。アメリカでは御自身が単独で脱出できるといえば何人でも搭乗できる事もあり、学ぶ点はあると思っています。
車椅子利用のお客様と一口にいっても3つの分けてコード化し予約システムを通じて情報を共有化しています。これは国際線で他の航空会社への乗り継ぎがある場合があるからです。 予約の時にお客様にお尋ねするのですが、この時には伺う言葉には十分に注意します。「全く歩けないんですね」等という言葉は使わないようにしています。たとえタラップを上がれるお客様でも空港は広いので車椅子を利用される場合も有ります。

また現在車椅子は無料でお貸ししています。移動の為絶対必用な物との考えだからです。しかし、ストレチャー(けがや病気で寝たまま移動する寝台)を利用される場合は必要な経費を頂いています。なぜならそのお客様の為にたとえば6席又は9席の座席を使用してストレチャーを組み付けます。そのためこのサービスを受けられる方だけの特別なサービスになってしまう為です。
また車椅子利用のお客様は最初に機内に入っていただき、最後におりていただくようご協力をお願いしています。この事に不満を言われる方もいりますが、そうしないといろいろと不都合が生じたり、かえって時間を要してしまいお客様にも迷惑をかけてしまうので、航空会社側としては物理的に出来ること・出来ないこと、なぜそのような対応をするのかという点を出来るだけ事前にお知らせするようにしています。
機内の通路巾は狭い−航空会社側だけの都合でしょうか?確かに広げる事は不可能ではありませんが、一方で座席数の減少、そしてコストの上昇を招き運賃上昇につながりかねません。
各種のサービスや手配の時にも「お客様だけのパーフェクト」は求めないようにしています。誤解を恐れずに言えば、何か強いご希望が有っても、ある時には各担当の従業員になるべく負担の係らない方法を取ることも有ります。このサービスにかかわるすべての方が笑顔になるように調整しています。これは障害のあるお客様をないがしろにしているわけではなく、特別扱いはしない−ほかの客様と同じということになります。今社内では、「後行程のことを考えて仕事をしよう」という言葉が頻繁に使われています。予約―空港―機内−到着空港と途切れることなく(シームレス)名サービスが必要だと思います。
スカイアシストデスクでは、すべてのお客様に対応できるようになっていきたいと思います。 人は誰でも不安なことが有ります。障害の場合、その不便さ=不可能につながるため意見が出やすいという状況があります。つまり他のお客様よりサービスに敏感になって頂けるということからも、そのような声には積極的に耳を傾け尊重していきたいと思っています。
質疑応答
Q スカイアシストデスクへのアクセス数はどのくらいですか。
A 1ヵ月、1500件から2000件です。なお、ANAグループ全体で平成11年に車椅子利用のお客様は約65000人です。
Q 空港によって車椅子利用者などへの対応がまちまちなのですが
A 地方空港は地元企業が旅客ビルを運営しています。設備と人的な問題で均一かされていません。
Q 知的障害者・アルツハイマーの方・精神障害者への対応は?
A すべては障害者手帳ありきでという考え方ではなく、どのようなお手伝いが必要かに応じて対応しています。知的障害は身の回りのことがお一人で出来ない場合、介助者の同行をお願いしてます。精神障害の方は過去に事件やトラブルになったことも希にあり、実際にはご搭乗頂いているものの、判断が難しいケースもあります。アルツハイマーの方もそういう意味ではグレーゾーンです。社内でもこれからの課題です。
Q 複合重度の障害者への対応は?
A 本(配布されているサービスハンドブック)に出ていないことも充分対応できます。それが有料のサービスになるかもしれませんが選択肢の一つとしてお考えください。
Q 教育に代わる(スカイアシストデスクがほかの社員への)物とは?
A マニュアルでありニュースであると思っています。

ANAスカイアシストデスク
URL:https://www.ana.co.jp/skyassist/

「戻る」「ホームへ」