タイトル もっと優しい旅への勉強会

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「第13回 JATA2001トラベルマート」出展者に対する
「障害のある人の旅行情報」に関するアンケート結果

1.はじめに

 日本では、ここ数年で障害のある人・高齢の人の移動に関する政策の状況は大きな変化を遂げつつある。ハートビル法(1994年)や交通バリアフリー法(2000年)の成立は、その規定は十分なものとはいえないが、しかし着実に障害のある人・高齢の人の外出を容易にしてきているといえよう。そして、そうした人たちの旅行事情も徐々に変化してきている。いまだに旅行会社のカウンターで相談にものってもらえないという苦情はなくならないが、しかし、その一方で障害のある人を対象とした旅行や障害のある人もそうでない人もともに参加できる旅行を行なう試みが徐々に増えつつある。
「もっと優しい旅への勉強会」(以下、「勉強会」)は、1991年に障害のある人の旅行を考える有志によって結成された。当時は、まだ「障害者が旅行なんて」と言われた時代であった。勉強会では「障害のある人が障害のない人と同じように旅行を楽しめる社会」を目指し、「誰でも、自由に、どこへでも」というキャッチコピーを決めたのであった。以後これまで月1回の勉強会を中心に、国内各種施設のバリアフリーチェック、障害のある会員とともに旅行を開催するなど、さまざまな活動を継続してきた。こうした活動の一環として、JATAトラベルマートには1997年から出展を行なっている。


 これまでの出展では、主に国内旅行のバリアフリーに関する情報を提供してきている。今回も前回に引き続き、「障害のある人や高齢の人にとって、楽しく快適な旅行とは何か」、「どのように情報を集めるか」などの要望に対して、情報提供を行なった。さらに、今後の新しい展開として、@勉強会が海外を含めた障害のある人に対する旅行(以下、「バリアフリー旅行」)に関する情報を発信できるようにすること、Aトラベルマート参加機関、来場者に「バリアフリー旅行」に対して関心をもってもらうこと、B各機関と勉強会の情報交換、連携によって「バリアフリー旅行」がより充実したものになることが目標として掲げられた。今回のアンケートはまさにその一環として行われたものである。本年は最初の試みのため、多くの情報提供を得られなかったが、そのこと自体にもまた意味があるといえよう。以下にまとめて報告する。

2.調査方法

 JATA協力のもと、「第13回JATA2001トラベルマート」に参加する238団体(2001.10.3現在)のうち、約130ヶ所にEmailにて「バリアフリー旅行」に関する情報提供の依頼を行なった(資料1)。
ATA協力のもと、「第13回JATA2001トラベルマート」に参加する238団体(2001.10.3現在)のうち、約130ヶ所にEmailにて「バリアフリー旅行」に関する情報提供の依頼を行なった。

3.結果

 11月10日までに、そのうちの10ヶ所から回答があり、うち、9ヶ所より「バリアフリー旅行」の情報に関する記述があった(別表)。回収率は約7.7%であった。

4.考察

 回収率の低さにはいくつかの要因があると考えられる。1には、依頼時期の問題である。資料1のEmailは10月の初旬に発送され、10月末日を締切日としていた。調査期間はほぼ1ヵ月と限られたものになり、しかも突然の依頼であったため、急遽トラベルマートの準備に加えてお願いする形となった。依頼側の配慮がなかった点をお詫びしたい。

 第2には、依頼した我々への信頼度もある。地道な活動を10年以上続けてきており、JATAとの信頼関係はあるが、参加団体に対してこれまで積極的な関わりをしてきたわけではない。参加団体にアンケートを呼びかけるのは初めての試みであるため、我々の団体に対する情報提供が十分に行われていなかったということがあろう。今後、アンケートを継続することによって、参加団体との交友関係を築いて行きたいと考える。
 第3には、各国の「バリアフリー旅行」情報に対する周知度の低さが挙げられよう。上記のように時間的制約があり、依頼団体に対する認識がないなかで、情報を提供してくださった国は、「全く情報がない」といえるか、あるいは現在押えている情報があり、それを提供することができたところであるといえよう。つまり「バリアフリー旅行」情報に対して知識があったということである。おそらく今回多くの機関が、回答を寄せてくださらなかった原因の一つに、「これから調べなくてはならない」手間があったのではなかろうか。すなわち、「バリアフリー旅行」情報が比較的簡単に入るような状態であったら、もう少し回答率も上がったのではないかと思われる。

 回答してくださった団体は、さまざまな地域からなっているが、それぞれのなかでの精一杯の情報を提供してくださっていると思われる。お送り頂いた情報について若干触れてみたい。

 旧共産圏の中でも、ロシアやルーマニアは、まだ「バリアフリー旅行」の概念が未発達であるという印象をもった。しかし、何度かメールがあり、この分野に非常に興味があると思われる。今後展開があるものと予想される。

 旧共産圏の中でも、比較的早い段階で資本主義化し、観光業が盛んなチェコでは、すでに障害者を意識した旅行がつくられている。さらに、我々が政府観光局に送ったメールが旅行会社に転送され、そこから回答がきたということから、チェコ政府観光局が「バリアフリー旅行」について認識し、情報をもっているということが示されているといえよう。

 ベルギーは、政府観光局のホームページ内に身体障害に関わる交通、宿泊、レストラン、美術館・博物館等アトラクションなどのパンフレットなどが現地で入手可能なことが記されている。またサポートグループについての情報も提供されている(日本語)。

 マルタはホームページに日本語表示はあるが、残念ながら「バリアフリー旅行」に関する情報はホームページ上では見つけられなかった。しかし、マルタの情報提供者によると主要なホテルでハンディキャップルームの用意があるなど、バリアフリー化は進んでいるようなので、今後はより詳細な情報提供が行われるかもしれない。

 アジアからはディスカバーアジア社、タイ政府観光局から情報が寄せられた。ディスカバーアジア社は、詳細は明らかではないが、「バリアフリー旅行」を作成しているとのことである。タイ政府観光局は、長期滞在プログラムを作成している旅行会社を紹介してくださった。ホームページはまだ制作中ではあったが、パンフレットには、高齢者、障害者の参加が可能であること、移送サービスや医療サポートなども提供可能であるという情報が掲載されている。詳細については、現段階では問い合わせが必要であるが、今後はホームページのなかでより詳しい情報提供があると利用しやすいだろう。

 オーストラリア政府観光局からは5つのサイトの案内があった。どれも「バリアフリー旅行」に関する情報であり、映像的にも車いす利用者が前面に出るものなどもあり、わかりやすい。

5.おわりに

 以上見てきたように、今回の情報提供は結果として非常に少ないものになってしまったが、お忙しいなか、我々の呼びかけに答えてくださった各機関に心から感謝したい。今後も継続的にアンケート調査を行い、各機関との連携を強固にし、より多くの情報提供を目指すとともに、参加機関の「バリアフリー旅行」に対する意識の向上を目指したい。

田中恵美子/副代表)


別表:出展者からの回答結果一覧

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